相続税申告を自分で行うことのリスク | 相続税のとびら
目次
相続税申告は自分でできますか?
相続税申告は自分で申告することは可能ですが、損をしたり、リスクが高くなります。
結論から申し上げますと、ご自身で作成いただき、税務署に提出することは全く問題ありません。やろうと思えば、自分で申告することはできます。
しかし、相続税の申告手続きは相続税に精通していない方にとって、多くのリスク・注意点がございます。
相続税の申告をご自身で行えば税理士に支払う報酬が浮くことになると考えるのはよく分かります。ところが、税理士に依頼することで、この報酬を支払うよりも多額の税金を抑えることができるということもあるのです。
相続税申告を自身でやられている方はどれくらいいるのか?
令和2年で相続税が課税された件数は、12万372件です。
相続税申告をした12万372件のうち、税理士が関与した割合は86.1%でした。
つまり、相続税申告を自分でやられている方の割合は15%にも満たないのです。
相続税申告に税理士が関与する割合がなぜ高いのかというと、ご自身で相続税申告を行う事はリスクを含んでいるため、
リスクを抑えるべく専門家に依頼するという方が多いのです。
ご自身で相続税申告手続きを行う際のリスク
① 相続財産に申告漏れがある可能性がある
亡くなった方の財産を全て把握できているケースは意外と少ないです。
特に、遺言書が残されていない場合は、相続人が遺産の調査を行わなければならないため、自分で申告手続きを行った場合に、一部財産の申告が漏れているケースは少なくありません。
例を挙げると、「名義預金(被相続人が自分以外の名義で行っている預貯金)」などは相続税申告で漏れやすい財産です。
こちらは名義人が異なるため、相続財産ではないと勘違いしがちですが、名義預金は相続財産に含める必要があります。
また、特例を利用して、税額を大幅に軽減、又は税額を0円にした方の場合、「自分で申告してしまおう」と考える方も多いと思いますが、そのような方も何かしら財産の申告漏れが発生しているケースが多いです。
② 相続税評価が困難である
相続税申告書において最も高いハードルは、「相続財産の評価」です。
特に、土地の評価は複雑で、さまざまな特例や計算方法が存在します。
同じ土地を複数の税理士が評価を行った場合でも評価額は一致しないことが多いです。
税金のプロでも判断が難しい土地の評価を、相続税申告を初めて行う方が評価することは非常に危険です。
また、相続税を控除する特例も併せて計算することが重要です。
特例の存在を知らずに相続税申告をする人も多く、過大に相続税を支払ってしまうケースも少なくありません。
③ 税務調査対応ができない
ご自身で相続税申告手続きを行うリスクの中で、最も重要なポイントは税務調査への対応です。
相続税は他の税金と比べて、税務調査が行われる確率が高いです。
平成29年のデータによれば、相続税申告書を提出した10人のうち1人に税務調査が行われており、特に自分で相続税申告書を作成した場合に、税務調査が入る確率が高くなると言われています。
なぜなら、相続税申告書には税理士署名欄があり、税理士が申告書を作成した場合に署名をするのですが、自分で申告書を作成した場合は空欄となるため、個人で作成したことが分かります。
税理士が作成していないので、計算ミスや判断ミス(例えば、小規模宅地等の特例が使えないのに使っている)、相続財産の計上漏れ(特に生前贈与や名義預金)等があるのではないかと税務調査に選定される可能性が高まります。
その結果、ある日突然税務署の調査官がやってきて家の中をかき回され、財産を隠す意図がない場合でもペナルティを課されるおそれがあります。
なお、相続税の税率は、他の税金よりも高く設定されているため、調査で追徴課税になった場合の税負担はとても大きくなります。
自分で申告するのに向いているケース
このように、相続税申告は基本的に税理士に依頼する事を推奨しているのですが、自分でやるのに向いている案件もあります。
ただし、それは下記の要件を満たすような場合に限ります。
①相続人が1人の場合
②小規模宅地の特例、配偶者の税額軽減などの特例により相続税がかからない場合
③名義預金や生前贈与など、過去に被相続人と親族の間で資金移動がない場合
①相続人が1人の場合
相続人が一人の場合は、仮に申告を間違えたとしても誰にも迷惑をかけることはないため、自分で相続税申告を行うこともできます。
ただし、申告の際に財産漏れがあった際や追加徴税があった際、自分で責任を負う形になります。
これに対し相続人が複数の場合には、仮に相続税申告の内容を間違えてしまった場合、他の相続人に迷惑をかけるため税理士に依頼する事を推奨しております。
②小規模宅地の特例、配偶者の税額軽減などの特例により相続税がかからない場合
特例を使って相続税かからなくなるケースは税理士に頼まずに、自分で申告しても大きなリスクはないと思います。
納税が発生するような案件は、税理士に頼んで少しでも相続税を下げてもらうことを推奨します。
相続税に詳しくない人が自分で申告をしてしまうと、税理士報酬以上に過大に申告して逆に損をしてしまうこともあるからです。
③名義預金や生前贈与など、過去に被相続人と親族の間で資金移動がない場合
名義預金や生前贈与があるかもしれないといった案件は、自分で相続税申告をせず税理士への依頼をオススメします。数年後の税務調査で税務署から指摘をされて数十万円、数百万円もの余計な税金がかかることもあるためです。
名義預金や生前贈与がある場合には、最初から税理士に頼んで税務署に指摘されない申告書を作ってもらいましょう。
税理士事務所へ依頼することのメリット
相続税申告についてのリスクを回避するためには、専門の税理士事務所に相談するのが一番です。
税理士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
① 税務調査の可能性がかなり低くなる
前述したとおり、相続税申告書には税理士署名欄があり、税理士に申告書の作成を依頼した場合、税理士が署名して提出するため、その後の税務調査の可能性が低くなります。
税務署は、「追徴課税できる調査先」を選定して調査を行います。
税理士署名がない申告書は「税理士に依頼していないから、申告書に間違いがあるかもしれない」と思われ、税務調査の確率が上がります。
② 納税額を最小限に抑えることができる
税理士は税金のプロであり、依頼者の強い味方でもあります。どういった対策や計算方法、特例の適用を行えば相続税の納税額が最小に抑えられるか熟知しています。
特に、土地の相続税評価は税理士の腕の見せどころと言っても過言ではありません。
自分で申告するよりも、税理士に依頼した方が税理士料金を差引いても納付税額が安くなるケースも多く見られます。
税理士報酬は安くはありませんが、目先の費用だけではなく、税理士に依頼したことで節税できる相続税の金額にも着目してみましょう。
③ 二次相続を見越したアドバイスがもらえる
二次相続とは、現在の相続の次に起こる相続のことです。例えば、母が亡くなった数年後に父が亡くなる場合に起こる相続を二次相続と言います。
最初の相続(一次相続)で二次相続を見越した遺産分割を行うことで、相続税の節税を行うことが可能です。
しかし、二次相続対策は、一次相続の相続財産に加えて、二次相続での被相続人の相続財産も視野に入れて対策を行わなければならないため、個人で判断することは非常に困難です。
税理士に依頼している場合は、二次相続を見越したアドバイスをもらえることができます。
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