令和元年11・12月号 自筆証書遺言書の改正
自筆証書遺言書の改正と注意点
平成31年1月13日より民法改正にて自筆証書遺言の要件が緩和されております。今までは、遺言書の全文を遺言者が自書して押印する必要がありましたので、高齢者の方などは遺言書を書く負担が大きく、遺言書の作成が進まない要因となっていました。
改正では、財産目録部分はパソコンで作成、あるいは代筆でも可能となり、通帳のコピーを添付することも可能となります。
自筆証書遺言書には紛失や改ざんのリスクがありますが、令和2年7月10日より法務局による自筆証書遺言保管制度が開始されるため、それらのデメリットも解消されることが期待できます。
法務局での保管制度を利用する場合、相続が発生したときに必要となる家庭裁判所による検認手続きが不要となり、その部分でもメリットは大きいといえます。
今回の改正で、自筆証書遺言書が作成しやすくなったとは言えますが、遺言書の本文についてはパソコン等で作成することは認められておらず、自筆で記載する必要はありますし、形式の不備により無効になることも考えられます。そして、法務局による自筆証書遺言保管制度を利用していたとしても、内容についての指示はありませんので無効になることも考えられます。
自筆遺言書の作成をお考えの方は、事前に専門家にご相談されることをお薦めします。