生命保険が相続財産のほとんどを占めており、他の相続人が納得していない事例
相談者及び相続人
被相続人
母(福岡市東区在住・70歳代)
相続人
長男(東京都在住・40代)
次男(長崎県在住・40代)
三男(福岡市博多区在住・40代)
財産の内容
不動産(土地建物)・自宅(福岡市東区):約500万円
預貯金・銀行預金(2口座):約500万円
有価証券:約50万円
生命保険:約10,000万円
その他:100万円
相談内容
相続人である三男さんが来所。
母の遺言があり、子供3人に相応に相続させることになっていた。
しかし、生命保険金の受取人は三男さんただ一人。
相続開始時点での預金残高が少額だったこともあり、葬儀費用等を捻出するとほとんど残らない状況。
その状況にほかの兄弟が納得せず、相続税申告の協力も得られず、生命保険金を分けたほうがいいのか?と思い相談に来られました。
申告の内容と結果
任意に生命保険金をほかの兄弟に分配すれば、それは単なる贈与となり、多額の贈与税を負担することになる。
生命保険金は民法上の相続財産とはならないが、今般はその保険料原資が財産の大部分を占めているため、ほかの兄弟は遺留分の減殺請求をかけてくることになるだろうと説明。
減殺請求を受けて代償財産を交付するならば、それは相続財産分配の修正となるため贈与税の負担することなく相応の相続税負担で完結することになるので、能動的に生命保険金を分配することを思いとどまってもらうこととした。
しかしながら遺留分減殺請求がされるか否かは不明であり、されるとしても時間がかかり相続税の申告期限を過ぎてしまうリスクがある。そこで相続税の申告は個々の相続人が単独で行うことが原則であるため、いったんは申告期限までに三男単独で申告をしていただくこととした。
やはり後日減殺請求がなされ、和解を成立させて代償財産を交付するとともに、各相続人が修正申告並びに更正の請求を行うことで無用の税負担をすることなく相続は完結した。